有給休暇ねぇ。

 私が以前勤めていた会社は、個人経営の小さい事業所だったこともあり、世間で言うところの労働基準法というものは「ナニソレ」といった存在でした。
 有給休暇についても例に漏れず、社長自ら「有給休暇なんて無いよ! 取らせなくても法律違反じゃないよ! 有給休暇が欲しければほかの会社に面接行ってくれていいから! 会社で仕事しながら面接行ってみなさい」と、社員全員のいる場で堂々と言うような会社でした。
 有給休暇なんて飾りです! 偉い人にはそれがわからんのです! といった会社だったんですね。
 で、有給休暇という名目で休みを取るとどうなるかというと、ボーナスが減額されます。これは社長自らはっきりと言っていました。休み取ったらその休暇日数分ボーナス減らすから! と。

 年末に、私が辞める原因となったようなことがあり、それの相談をしに行ったときについでに有給休暇について話を聞いてみました。
 労働相談所の人は「有給休暇は取れる取れないじゃなくて、労働基準法で決まっているから」と言いはしたものの、休みを取った分ボーナスが減らされるのは仕方がない、と言われてしまいました。
 もちろん、有給休暇を取ったから賞与や給料を減らすというのは違法らしいです。しかしながら、賞与を減らされた原因が「有給休暇を取ったから」ではなく「会社の売上が落ちたから」「あなたの職務態度が悪かったから」などと言われたら、賞与を減らされた側としても何もできないそうです。
 結局、賞与と退職金は会社のサービスという部分が大きいので、あんまり労働基準法でもガチガチに決められてないみたいです。退職金や賞与に関しては、きっちり労働基準法で決まってないから事業主のいいようになっちゃうってことですね。頭のいい事業主なら、このあたりの抜け穴を利用して、従業員への報酬や休暇を禄に与えてないんだろうなぁ。私が前に勤めていた会社がそうだったけど。

 逆に、事業主の人は、もし従業員が有給休暇を取ったことについて腹立たしいと思ったら賞与を減額しちゃいましょう!「キミの職務態度が悪かったからね」とか「売上が下がったからね!」と言っちゃえば何も言われませんよ!

 ていうか、労働相談所の人自ら「まぁ、ボーナスが出ないところもあるみたいだしね」て言ったり、挙げ句の果てに「退職金という名目で給与天引されていて、それを退職金として払わない事業主もいるくらいだしね」っていう犯罪まがいの行為と比べて「まだマシでしょ」って相談内容をはぐらかすのはどうなのよ。
 あと、私は14年勤めていたので「でも、それだけ長く勤めているっていうことは、ほかの部分でいいところはあったっていうことでしょ」って言うのはどうなのよ。14年勤めていて腹に据えかねたから相談に来たんじゃん。

 まぁ要するに、労働相談所ってのは相談しに来た人を宥める場所です。労働相談所側も、来た人を「相談に来た人」ではなく「愚痴を言いに来た人」って認識しているのかも。よく、ほってんとりで労働相談所や労働基準局に行けと言われてたりしますが、私にしてみれば逆に「みんな行ったことないんだね」って思っちゃうもんなぁ。
 労働相談所は、「それは明らかに違法です」っていう真っ黒な状態のものを「黒だよ」と言うことはするけど、そこから動いてくれることは多分ありません。

 労働相談所の話をしたので、次の記事は、社労士さんと労働基準局(行ったことないけど)の話でもしようかな。労働相談所の人に、宥めてるのか脅されてるのかわかんないようなこと言われた話とか。
 あと、辞める決心がついたときの話とか。



 ここからは余談ですが(つーか愚痴です)。

 個人事業主ですから、雇ってくれていたのも感謝しています。だから、まぁ有給休暇が名目上でしか無かったり残業代でなかったり休みが年間80日切ったりするのは仕方ないと思ってました。存在しないような人に給料が行っているのも、事務員には事務用品を自分で買えと言うくせに社長家族はいらんもんまで経費でまかなったりするのも、それをやりたかったら事業を立ち上げればいいという話ではある(悔しいのは、その会社が昔からの惰性で続いているだけだという部分なんだけど)。個人事業主だから従業員をそんなに雇えないので、最低人数でやりくりしなくちゃいけないっていうのは理屈ではわかりますし。仕事内容はそんなに大変ではなかった、というのと、個人事業主だから風通しがよかったというのもあります。上司に喰ってかかっても全く気にもとめずに接してくれるような会社だったんで。(えーえーよく上司に怒鳴り返しましたとも。だってあまりにもアホなんですもの)
 それでも限度がある。
 売上げが減ったという理由で社員の給与を減らすのに株主の役員を全く変動しなかったり、事業主が全く働いていなかったり、働いていない人に給与を渡したりしているのを知っていると、どうにもやる気がそがれるというか。挙げ句の果てに、事業主にあたる人が仕事の内容を全く知らなかったりしているのは(特にお金が入る部分に関して)流石にめまいがした。
 よく、人間は怒ると頭に血が上ると言いますが、あんまり怒りすぎるとそれを通り越して、頭にのぼった血がサーッと足にまで引くんです。なんかもーね、あの体験は今でも忘れられないし、頭にのぼった血が足にサーッと引いた感覚が、怒っているにもかかわらず奇妙なほど実感できたんですよ。

 悔しいのは、本当に昔からの会社なので、ここ数十年で立ち上げた会社ではないということ。つまり、今好き勝手にやってる経営者の手腕で持っているわけではないのです。そういう会社は早晩つぶれるよという宥められ方をするのですが、それを期待できる業種ではありません。毎月定額で絶対にお金が入ってくる上、お金を払ってくれる人はそう簡単に他社へ流れることもなく、連鎖倒産とは縁遠い小売業種。杜撰な経営にもかかわらず潰れないのは、そういう要因があるから。だから従業員に横暴ができるし、経営側の金遣いが荒い分従業員にしわ寄せが行く。いやになって買い手市場の昨今、従業員が辞めても代わりはすぐ居る。
 少ないながらも従業員を雇っている会社がいたら怒るよそれ。今なんか必死なんだしさ、零細企業。
 逆になかなか潰れるということがない会社なので、そのまま居ても職にあぶれるということはなかったんですが、半分嫌がらせのようなことをされ、家に帰って突然泣き出したり心配で眠れなかったり胃を痛めたり吐いたり会社へ行くと気持ち悪くなったり耳鳴りが悪化したり、そのまま居たら多分ストレスでどうかなってたから、ここで辞めて正解だったのかなぁ……とも、今必死で言い聞かせているわけです。

 あ、会社辞めたら上述した体の具合は綺麗さっぱり無くなりました! 耳鳴りはまだ響いてますけどネ!